
うめきや咆哮のなか、淫らな水しぶきをじっと見ていた私。
今すぐにここを逃げたいのに、五感とは違う内面的な支配に、私は足先ひとつ動かせずにいました。
かろうじて顔を動かすと、洗面所の鏡には〔清楚な女子高生〕そのものな自分の姿。

着慣れた冬服の、紺の生地、白のライン、赤のスカーフ……清楚な色彩をまとった私の姿は、向こうで繰り広げられる淫らな行為と不釣り合いすぎて!
まるで遠巻きにレイプされているような、微かな、でも異様に卑猥な凌辱感に、私は冷や汗を噴き出していました。
「うぁぁーっ、ああっ、若い頃に戻ったようだよ、うはぁぁーっ」
「あんっ、あなたぁ、あなた素敵ぃ! はぁ、はぁ、ぁあああー」
父の向こうで揺れる母が、感極まって浴槽のふちに身を預けたとき、すべての謎が解けるのでした。
──母が私のセーラー服を着ていることがわかったのです。
あれは夏服。通学だけじゃなく、冠婚葬祭でも身に着ける、私の正装です。
父は母の後ろから手を回し、びしょ濡れになった厚い生地ごしに、母の胸を揉みはじめました。
「あぁ、たまんねぇ……」
薄い夏服からは、清楚なセーラー服とは不釣り合いな巨乳が透けていて、それも父を興奮させているのでしょう。
母は浴槽のお湯を飲みながら、
「なずな、はぁはぁ、なずなを産んでよかったぁっ……。あの子のおかげで、あなたにまた愛してもらえるようになるなんてぇ」
と、意味深なことを言って喜びます。
私の浸かっていたお湯を飲むことで、若さのエキスを得ようとでもいうのでしょうか?
しかしこれで、母がお風呂の除菌を徹底したり、入浴剤を禁止した理由がわかりました。
入浴剤が入っていたり、不潔なままだったりしたら、お湯を飲んだりできませんから。
母の言葉に感情を昂ぶらせた父が、
「あぁァっ、うぉっ! クふっ! ぁあっ、なずなの匂いをまとったお前、最高だよ」
後ろから断続的に母を突きだします。
私の浸かっていたお湯に、私のセーラー服……それらを母という熟女にまとわせることで、父も大きな興奮を得ているようでした。
「あっ! きゃっ! ひゃっ!」
父が一突きするたびに、母は電撃でも受けるように、体をのけ反らせて跳ねあがります。
そんな熟女と中年男性の性行為に、禁欲の象徴であるセーラー服はあまりにも不釣り合いで、それが変な卑猥さを醸し出してもいました。
つまり両親は、私のコスプレエッチをすることで、かつての熱愛を取り戻していったのでしょう。
悔しいとも憎らしいとも違う、むずむずくる奇妙さを伴った、回りくどい嫌悪感。
私の手のひらは異常に汗ばんで、握りしめていたセーラーカラーをふやけさせてしまいました。
父の突きは激しさを増していきます。
「うゎぁぁー! 好きだ! 好きだ花絵!」
母・花絵。娘がいるとは思えないくらい若い……と、ご近所さんによく言われます。
「愛してるわぁっはぁんっ! あなたぁっ!」
ああっ、女子高生としての誇りだったセーラー服が、父の精力を高めるための卑猥な性具に。
私の体も、心も、なにもかもは純潔のままなのに、心身とは違うなにかが、決定的に穢されていく気分でした。
後ろからの突きが一段落すると、自然と二人は向き合います。いつもの順序なんだろうなと、それを理解してしまう自分がイヤでした。
ふと、父は浴槽のふちから、なにかを拾い上げたようです。
「なずなの……髪?」
「ああ」
私の抜け毛……。
父はなんと、私の髪の端を口にくわえると、それを母の口元へ近づけました。
母も、厭らしい笑みを浮かべながら、私の髪をくわえます。
そして二人は、まるでポッキーゲームを楽しむように、私の抜け毛を伸び縮みさせながら、クスクスと鼻で笑いあっていました。
常に、長い髪を三つ編みにしている私。だから、強いウェーブが崩れることなく、伸縮が楽しめるのでしょう。
猥褻な可愛さで静かに笑い合っていると、その反動で突然感情が暴発したのでしょう。
父は、私の髪ごと母に熱いくちづけを与えながら、腰を烈しく前後させだしました。
「んむんっちゅっ! んんんくっぷばっ! ぷはぁっ!」
「ぶほっ! ぁあああー!」
口と口が乱暴に離れると、濁った飴細工が昼の光に輝きました。
「イクぞーーー! ウォアアアー! 最後まで!」
「え、ええっ! あはぁぁーんっ!」
私は、嫌悪というより恐怖を感じていました。
人間が、あんな動きをするなんて!
それはもう、お湯がすべて弾け飛んで、浴槽を空にしてしまうほどの勢いです。
やがて──
「うわぁっ! イく! イくっ!」
「はぁぁーん、私もぉーっ!」
感極まった絶頂の合図が聞かれると、父は浴槽のふちに座り──
信じられないほどに膨張したそれを、なんとセーラー服の胸ポケットに突っ込みました!
そして父は、半ば白目をむく恍惚の表情を浮かべると、体をガクン、ガクン、と波打たせます。
あれが、射精……
「おおっ! ポッケのなかスゲェ! あはあっ! キモチィぃ!」
セーラー服のポケットのなかはツルツルしていますから、それが気持ちいいのでしょうね……。
父はガックリと脱力すると、熱くて荒い息を吐きながら、じゃぼんと母の隣へ裸体を投げ出しました。
母が愛しそうにポケットに触れると、どろどろと、真っ白な液体が濡れた生地に流れ出します。
女子高生の気高さを象徴するセーラー服に、男性の欲望を塗りたくられる屈辱!
「ふふふふ、はぁ、はぁ……なずなの、弟か妹の種……こんなに、たくさん……」
精液というものが、一度にあんなに出るものだなんて!
「次は、子宮に欲しいか?」
「ええ……」
弟……妹……作るつもりなのでしょうか?
まるで突然凌辱され、突然放り棄てられたように、ぶるぶるとみじめに疼く全身!
私はドアをそっと閉めると、凍りつく足を気力で動かし、一目散にこの場から逃げ出していました。
会いたい……羽莉に、会いたい……会いたい……会いたい……
