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実はとっても芯の強いドジっ娘ナースさん【おねショタ中編/Last Scene-前】

瑞乃「プロローグはここですっ! あと、グローバルメニュー(スマホの場合は記事下)の『目録』も使って下さい!」
雅加「あと、『ご案内』も活用してほしいな」
瑞乃「さあ! エピローグ開始!」
雅加「最後まで応援して下さいね~」


blush

 数日後。
 ボクと瑞乃は、ボクの両親との最初で最後の会談を行なっていた。

 秋の真っ白な西日が差す、質素なこのレストランで、ボクは完全に人形と化している。
 なぜなら瑞乃が、えらく強い態度で両親と対峙(両親を退治?)しているから!
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「では、これを提出すれば、雅加君は正式に私の夫。朝苗の籍の人間です──まあ、天涯孤独の私です。雅加君自身にとっては、なにも変わることはないでしょう。あくまでも、書面上の契約を交わしたまでです」

 ドジっ娘とはいえ、もう何年も立派に看護師を勤めている女性。自然と、色んな場合における対処法を身につけてきたんだろう。
 ドラマなどで見る限り、ナースというのはかなりの社会的スキルが必要になる職だと思うから。

 それと比べると、父親の一本調子な冷たい口調が、かりそめにも同じ細胞を持つ人間として情けない。

「いいえ。世の中では書面上のことが最も大切なんですよ。感情がどうであれ、書面や印鑑によって社会は動くものですから」

 父の空虚な説教に、瑞乃はヒトを食らう人面花のような笑みを浮かべた。

「なるほど、そういうことですか。さすがは、大きな企業にお勤めになられておられるだけのことはありますね。とても勉強になりました。ありがとうございます」

 そして、それが皮肉であるとも気づかず、ただ誇らしく笑っている両親の、なんという類まれなおめでたさ!

 父はふと笑顔を翳らせ、心底不思議そうに瑞乃を見つめる。

「そんなことより、私たちにはわからない。なぜあなたが、自ら進んで厄介を背負しょい込むのか」

 母も心配そうにうなずいていた。

「雅加を手に入れたところで、あなたにメリットは何一つないんですよ? 夜間の、外来受付、ですか? 雅加、面接は上手くやったそうですが、お役に立つかどうか……」

 そう。先日、病院での面接があったのだけれど、全員が瑞乃の知り合いということもあって、ボクにとってとても都合のいい雰囲気だった。
 瑞乃がボクのことを相当、同僚などに対して〔良く〕言っていたらしくて。
 恐らく、ボクが受付をやるのを想定していて、ボクの評判を良くするためにそうしていたんだと思う。なんというかもう、本当に頭が上がらない。

「いや、〔父親だった人間〕として言わせていただきますと、雅加は役には立たないと思いますよ。むしろあなたにとってはデメリットばかりでしょうに」

 父はまるで汚物でも見るような目で、自分の精子が作り出した存在であるボクを見つめてくる。
 瑞乃はとても冷ややかな笑顔で、両親を交互に眺めていた。

「まあ、人生におけるすべてを、メリット、デメリットに分けてしか考えられない人たちに、私の意図は理解できないでしょう」

「はい? と、言いますと?」

 父の愚鈍な問い返し。
 瑞乃は冷ややかに、でもどこか朗々と言い返す。

「病人さんを大勢見ていると、気づくことがあるんです──結局、人を救うのは愛でしかないんだと。重い病を告げられた人、あるいは、余命を宣言された人……そういう人たちが救いを見いだすとき、そこには必ず、家族や、友達や、誰かの書いた本や、誰かが奏でた音楽の存在がある」

 書面上とはいえ、こんな人がボクの妻になってくれたという事実が、もう誇らしくてたまらなかった。
 そして、こんな人と何度も体を重ねたんだと思うと、それだけでもう、心が太陽まで翔んでいきそうなほど。

「ほお」

「ああ」

 両親はまるで別の国の言語を聞くように、瑞乃の言葉を理解できずにいる様子。
 けれど彼女は構わずに、両親をにらみつけたまま、意識だけをボクのほうへ向けて語る。

「だから私も人生のなかで、〔これ〕という人を見つけたら、さらってでも共に歩んでいこうと、決めていたんです。それだけです」

 ボクはこの場において初めて、口を開くことにした。

「瑞乃、それ、提出しに行こう」

 そしてテーブルの上の婚姻届を指差す。

「おう、行くか相棒」

 相棒?
 まあいい。
 ボクは冷めた眼で両親を眺めると、

「今までありがとうございました」

 とだけ告げて瑞乃の手を取る。
 両親はただ、

「いえ」

「こちらこそ」

 などとつぶやいただけだった。

pensive

瑞乃「次はいよいよ最終回! 最後まで応援して下さいね~」



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